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一斉に退席 新たな門出

「自分は絶対に負けたくないです。次ぎ勝てるように練習したいんです。」

試合当日39度の熱をおして奮闘したキャプテンが監督部屋で自分の気持ちを吐露する。

その眼は真剣そのもので、下級生時代のおっとりした眼ではない。

先を見据え、眼光鋭いその表情からは、身を賭してラグビーに対して情熱を傾けている姿勢がにじみでている。

隣に座る、怪我で出場機会すらなかったチームのトライゲッターでもあるNO8は、

それを聞きながら、涙を浮かべて頷いている。



この二人の気持ちは聞くまでもなく理解している。

きっと、その言葉の中にある「自分は、、」という点が問題なのだ。



そう、このチームの中にも格差がある。

負け、失敗、叱責、諦めのルーティーンから脱却しようとする者と、それに甘んじている者の差だ。

実際に自由練習でも、グランドの片隅でどこでもできるようなパス練習だけをして数時間、、

時間をつぶすだけの部員の顔ぶれは、やはりBチーム制服組、想定内のメンバーだ。

キャプテンもそれを確認して、チームが一丸になれないことに心を痛めていた。



午後の練習。

そのキャプテンの主導の下、練習が開始された。

AチームのモチベーションとBチームのそれとの格差を明確にする練習が行われたらしい。

「らしい、、」というのは、監督は練習に不参加だったから。



夕食後。

食事が終わった部員を座らせたままにしてミーティングに切り替えた。

まずは、マネージャーの書いたプランノート。(日記のようなもの)

これを杉林先生が読み上げた。

内容は、試合の途中に感じた彼女たちの怪我に対する恐怖感と、相対して、果敢に闘う部員たちへの賞賛。

更には、試合後に茨の道を進むか、それとも退くかの判断についての感想。

ただ、その文章のいずれにも近い内容が書かれていた。

「私たちは勇敢に戦った部員たちの判断について行く。何故なら、それがマネージャーだから。

そして、そこで精一杯頑張る。部員はみんな家族だから。」


読み上げられる文章を聞きながら、目を瞑る部員、天井を見上げる部員、、下を向く部員。


加えて監督から、、

「俺は、天宮部(障がいのある部員たち)を見て思うことがある。

彼らが、健常者と同じ振る舞いをすることや、受け答えをすること、、この努力は、もしかしたら、

ある意味、君たちが強豪校に勝つということよりも難易度が高いものなんじゃないかなぁ?

数学の計算も、国語の漢字も、買い物や掃除、更には働くことも、君たちが勝つことよりも、もっと、もっと

難しいことであり、それにチャレンジしている身近な仲間が、彼らなのではないか?」


目を見開く部員たち。


「よし、わかった。では意見を聞こう。」

Aチーム、キャプテンから手があがった。

「自分は、、、!!」彼の意見が食堂に響いた。

「次ぎ!」

2年生の部員が意見を言った。

次々と手があがった。それも、こちらをキッと睨み付けて手を挙げている。

「弱い自分を、、、!」

「筋力の基準が、、、!」

数名が言い終わった後、手はまだまだあがっていたが、


「よし、わかった。ここから先は自由選択だ。


まずは、マネージャーと天宮部は先に退席してくれ。

、、、、さて、残ったのはABチームだが、

そこまでして闘いたくないと思う部員はその場に残ってもかまわない。もちろん、

怒らないし説得もしない。遠慮なく自分の思うとおりにしてくれ。

そして、、

死ぬほどの努力をしてもかまわないと思う者、

昨日の相手に勝ちたいと心から願い、試練を乗り越えると言える者、、即座に退席して練習しよう!」


言い終わるか、言い終わらないか、、その瞬間に、

食堂には椅子が後方に「ズズッ!」と引き摺られる音が一斉にした。

眉毛を八の字にして、胸を張って食堂を出て行く部員たち。

そのスピードやタイミングに差はあるものの、全員が食堂を出て行った。


その後、19:00~ 照明が灯り、人工芝グランドに部員たちの声がした。

今日までは監督不在の自由練習。ここに意義がある。

やらされるわけではない。

何とかしたいけど、自分たちの練習のメニューやパターンはないと自覚する。

だからこそ、この後提示される過酷な練習メニューも受け入れられるというものだ。


さぁ、、明日からまた過酷な日々が始まる。

彼らの決断は、我々顧問への意思表示であり、我々顧問もそれなりの覚悟で受け止める必要がある。

きっと今年は休日返上日数が増えるなぁ。

よろこんで、、やりましょう!!!!!

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